この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
我が運命は君の手にあり
第4章 第四章
ざらついた感触は手のひらに心地よく、温もりが指先から全身へ伝わってゆく。次第に心が落ち着き、口に含んだ緑茶の苦味は、喉を過ぎてから胸にじんわりと広がった。

「旨いだろう」
「はい、美味しいです、とても」
「うむ、それは割らないでくれよ」

嫌みとも冗談とも取れる言葉に、冴子は思わず湯飲みを置いた。

「あははは、冗談だよ。花器の件はなんとも思ってない」

彼女は時江を待った。染井の背後で見え隠れする花が気になり、気持ちが勝手に揺れ動いた。さらに耳の奥では、花鋏の音が鳴っている。

「ああそうだ、時江が選んだ着物が二階にあるから着てみなさい。それを渡すつもりなんだよ」
「えっ?」

時江がなぜ自分に……冴子は耳を疑った。

「一式揃えたそうだから着てみるといい、彼女が見たらきっと喜ぶだろう」
「時江さんが私に? ……どうして」
「私にもさっぱりわからんよ、珍しいこともあるもんだ。どうだい、一人できちんと着られるところを見せてあげたら。そろそろ帰ってくるだろうから」

込み上げるものがあった。一人で着付けた姿を時江に褒められたことは一度もなく、それを望んではいなかったが少し寂しくもあった。

/334ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ