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我が運命は君の手にあり
第4章 第四章
染井が化粧台の引き出しを開け閉めする間、冴子は肩に置かれた左手に捕らえられていた。
突然の侵入者に驚いてもいたが、肩に触れたままの分厚い手に心が乱れた。その手をどけて欲しかった。姿見の中の女が切ない顔で見つめている。その女を遮り、染井が目の前に立った。
冴子の顎をくいと上向かせ、繰り出した口紅を震える唇にぬっていく。
「あ、あの……」
「黙って」
時江ではない、男の目が間近にあった。指先で顎を支え、少し開いた冴子の唇に鋭い視線を落としている。
「うむ、これでいい」
背後にまわった染井が、再び肩に両手をのせてきた。
「ごらん、冴子」
「……」
真っ赤な唇の女がいた。
「やぶ椿の色だ」
肩にあった手が徐々に腕に下り、冴子の乳房の下で交差した。背中に男の胸板を熱く感じた時、耳に唇が押し付けられた。
「そそられるね……」
カチッ……
花鋏が鳴った。
突然の侵入者に驚いてもいたが、肩に触れたままの分厚い手に心が乱れた。その手をどけて欲しかった。姿見の中の女が切ない顔で見つめている。その女を遮り、染井が目の前に立った。
冴子の顎をくいと上向かせ、繰り出した口紅を震える唇にぬっていく。
「あ、あの……」
「黙って」
時江ではない、男の目が間近にあった。指先で顎を支え、少し開いた冴子の唇に鋭い視線を落としている。
「うむ、これでいい」
背後にまわった染井が、再び肩に両手をのせてきた。
「ごらん、冴子」
「……」
真っ赤な唇の女がいた。
「やぶ椿の色だ」
肩にあった手が徐々に腕に下り、冴子の乳房の下で交差した。背中に男の胸板を熱く感じた時、耳に唇が押し付けられた。
「そそられるね……」
カチッ……
花鋏が鳴った。