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我が運命は君の手にあり
第4章 第四章
「と、時江さんが、時江さんが帰ってきますっ」
「時江は遅くなるそうだ。明日になるかもしれない」

絶望と困惑が冴子を襲った。

――失礼のないようにね
──恩返しするつもりでお務めしてね

短い沈黙が、危うい決意を連れてきた。
冴子は顔を横に向け男と見つめ合った。何も考えず、その頬に手を伸ばすと自ら唇を乞うた。薄く開けた唇に男の唇が重なると、強く押し付けて自ら舌を伸ばした。
身をよじって向かい合い、彼の頬を両手で掴むと、再び唇を押し付けて彼の舌を探した。

「ん……、冴子……」

愛などいらなかった。そう、愛なんてない。

――君を抱けなくなるのは残念だけど、病気のばあちゃんが付いてくるんじゃ結婚はできないよ、子供も欲しいしね。だから別れよう冴子、好きな人が出来た

今この幸せでいい
これ以上の幸せなんてない
逃しはしない
絶対に……

冴子は憑かれたように激しく舌を絡ませると、男の手を掴んで乳房を掴ませた。腰を支える大きな手にもたれて胸を突きだし、男の口に貪られる懐かしさを味わった。

「冴子……」

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