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我が運命は君の手にあり
第4章 第四章
惰性で聞いていた遼の胸に何かが引っ掛かった。それは、眉をひそめる程の事ではなかったが、無視できない違和感だった。

「それに、今回の身に余るご縁も……」
「親父との出会いって?」

次期家元となる決意を秘め、遮二無二修練を積んでいた頃の遼にとって、北沢が雇われた経緯など知るよしもなかった。

「ある方に紹介して頂いたんです」

「ある方」と彼女はどういう関係なのか、何の為の紹介なのか。人には言えない仕事をしていたという女が、あの好色な父と知り合う状況とはいったい――

「幸せって、そこに立ってみなければわからないものですね」

親父は北沢と寝たのだろうか。喜び勇んで腰を振ったのだろうか。この女ならどんな男でも充分に満足するだろう。
まさか俺は、あいつが寝た女と寝たのか……

「遼さん」
「……えっ」
「好きな人には、素直に気持ちを伝えないと振り向いてくれませんよ。後で後悔する事になります」

彼女の言葉が説教じみて聞こえ、面倒だった。

「後悔? まぁ、時にはそういう事もあるだろうけど、北沢さんはそうじゃないだろう? 誰もが羨む相手と結婚するんだから』

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