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第1章 累（かさね）

「しげみさん、ちょっといいかなァ…」
「課長!!うちは今手がいっぱいでテンテコマイになってはるのだけど!!」
「ああ、すぐ終わるから…」
「ンモー!!課長!!課長が横から口出ししてくるけん帳簿のページが分からなくなってしまったじゃないのよ!!」
「ああ、ごめんね…ごめんね…」
「課長はどこのどこまでデリカシーのない人なのかしら!!」
「そないに怒らんでもええやないか…ちょっとの間だけでもいいから…」
「あとにしてください!!」
「あとにしてくださいって…ほないつになればワシの話を聞いてもらえるのだね…今じゃないと話をすることができんのだよぉ…」

課長さんは、女々しい声でしげみに話を聞いてほしいとお願いをしていますが、しげみはかたくなになりまして『イヤ!!』と言い続けていました。

課長さんは、ますます女々しい声でしげみに言いました。

「しげみさん、ワシはしげみさんが後先になって困らない生き方を送ってほしいと思って話があると言うているのだよ…すぐ終わるから話を聞いてくれぇ…」
「手短にしてよ!!」

課長さんはますます女々しい声で、しげみに『土日の予定はあるのかなぁ～』とたずねていました。