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累(かさね)
第1章 累(かさね)


時は、夕方4時頃のことでありました。

ところ変わりまして、義久夫婦の家の居間にて…

居間には、義久夫婦の知人夫婦がいまして、お茶をのみながらお話しをしていました。

義久夫婦は、知人夫婦に慶彦がヤクザの男たちに刃物を振り回して数人を死傷させた事件をまるくおさめたいので弁護士さんを紹介していただこうと想いましてお願いをしようと思っていました。

しかし、義久夫婦の気持ちがけだるくなっていたので知人夫婦との雑談が中心になっていたので、慶彦が起こしたヤクザがらみのもめごとを解決することをないがしろにしていました。

(チリリリリン…チリリリリン…チリリリン…)

義久夫婦が雑談に夢中になっていた時でありましたが、電話台に置かれているうぐいす色のプッシュホンのベルが鳴っていましたので、しげよが電話に出ました。

電話は、かずみからでありました。

「内路でございます…かずみ…きょうね…すずねさんの秋田で暮らしているいとこさんがね…稲庭うどんをたくさん送って来てくださったので…晩ごはんはみずたきにするから…(知人夫婦)さんも一緒に晩ごはんをいただくことになっているのよ…」

受話器の向こうにいるかずみは、ものすごく怒った声で『それどころじゃないのよ!!人の話が聞こえてへんのかしら!!』と言うてから『あやね連れて帰ってくるから!!』と言うて一方的に電話を切ってしまいました。

それから30分後のことでありましたが、かずみがあやねを連れて家に帰宅をしました。

この時、かずみはものすごい血相をしていたのでしげよは一体なにが起こっていたのかをたずねたのでありました。

かずみは、のりひこがフリースクールの中にあるトイレの中で同じフリースクールに通っている小学生の女子児童の身体にいたずらをしていたことが原因で行方不明なってしまった上に、女子児童の両親からの怒りを買ってしまったので許してもらうなかったと言いました。

それを聞いた義久は『慶彦(あのバカ)はどこでなにしよんじゃ!!』と激怒してしまったのでありました。

困り果ててしまったしげよは、慶彦がいる職場に電話をしまして早く帰って来るようにと伝えようとしていました。
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