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第1章 累（かさね）

「すずね…できればすずねのことを助けてあげたいのだけど、助けてあげることができないのよ…」
「助けてくれんって…それじゃあ、うちのことを見棄てる（みすてる）と言うことなのかしら!!」
「見棄てるとは言うていないのよ…今はできないというているのよ…」

すずねの父親は、ものすごくつらそうな表情ですずねに『すまんけどあとにしてくれ…』と言うてから、後回しにする理由をつらそうな声で言いました。

「わしらは、きよねの寝ぼけた性格をなおすことが最優先なんだよ…きよねの寝ぼけた性格がなおったらすずねが抱えている問題を解決させるから…」
「きよねの寝ぼけた性格って…それって結婚問題のことをいよんのかしら（いっているのかしら）!!」
「わかってくれ…この通りだ…」

母親は、『おとーさんの気持ちをわかってほしい…』と言うてからすずねに言いました。

「おとーさんはきよねが21の年下のカレと結婚したいといよることにものすごい怒りを抱えているのよ…40前のシングルの娘のショコンは負い目をみるからやめなさいといよんのにきよねがイコジになってはるのよ…」
「それじゃあ、どうしたいのよ…結婚することを阻止してどーしたいのよ!!」
「すずね…40前の人のショコンがどうしていかんのかがわかっていないみたいね…子供が生まれてきた時に育児と介護の負担を両方強いられてしまうのよ!!きよねにそんなしんどい想いをさせたくないからと言うおかーさんとおとーさんの気持ちが分からんと言うのね!!」

母親の言葉を聞いたすずねは『出て行けばいいのでしょ!!』と両親に怒鳴りつけたあと『あんたらのことを詛う（のろう）だけ詛うから!!』と棄て言葉（すてことば）を吐いてしまったあと、はつねとあやねを連れて再び家出をしてしまいました。

すずねから棄て言葉を吐かれてしまった両親は、返す言葉がありませんでしたのでどうすることもできませんでした。

母親は、両手で顔を隠してグスングスンと泣きじゃくっていました。

「なんで『詛うだけ詛うから…』と言われなければならないのかわからない…こわい…すずねがこわい…なんですずねから執念深く憾（うら）まれなければならないのかわからない…ううう…」