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第1章 累（かさね）

「３月いっぱいで今の職場をやめて、４月１日からは大阪府に行く…慶彦…職場の上司は正気でそななことを言うてはったのかしら!!」
「課長は…そのように言うてはった…」

慶彦の言葉を聞いたしげよは、ものすごくおたついた声でこう言いました。

「困るわよ…20年前に慶彦が就職した時、課長さんは『うちの会社は地域限定従業員で終身雇用だから地元で長く勤務できるから…』と言うていたのに、それが今ごろになって急にいらなくなったからぽい棄てになってしまった…おかしいわよ…絶対おかしいわよ…そうよねあなた。」

しげよの言葉に対して、義久はこう言いました。

「慶彦の職場の上司はいつ頃からポン引きみたいなことをするようになったのだろうか…慶彦の職場はいつ頃からチンピラの事務所にヒョウヘンしたのであろうか…」
「そうよね…」
「ああ、そうだよ…慶彦はだまされているに違いない!!」

義久は、職場の上司は慶彦に事業所を変えるだけと言う言葉の糖衣にだまされていると言うてから大阪府の事業所へ行く話をきっぱりと断りなさいとさとしました。