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第1章 累（かさね）

その日の夜10時半頃のことでありました。

ところ変わりまして、西条市壬生川にあります義久夫婦の家にて…

家の居間には、義久夫婦と夫婦の長男・晴久（46歳・契約社員・シングル）と長女・かずみ（39歳・パート・シングル）と次女・しげみ（31歳・農協職員・シングル）の５人家族とすずねの６人がいまして、慶彦が帰ってくるのを待っていました。

慶彦の３人の子供たちは、別の部屋でうずくまっていたので外へ出ることができませんでした。

深夜11時頃に、電話台の上に置かれている有線放送の受信機のスピーカーから放送終了をつげる音声が流れていましたが、慶彦はその間も逃げまわってばかりいたようでありました。

慶彦は…

どこのどこまで、うちら家族にメーワクをかける気でいるのかしら…

やーさんたちとの間でニンジョウザタを起こしてしまった…

そのようになってしまった時…

うちら家族が被害を受けると言うことがわかってはるのかしら…

義久夫婦の家族たちのイライラが限度を超える恐れになる一歩手前になった時に、ゲンナリとした表情になっている慶彦が帰宅をしたのでありました。

義久の妻・しげよは、より厳しい声で慶彦をたしなめていました。