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第1章 累（かさね）

「慶彦!!」
「おばさま!!」
「慶彦!!今ごろまでどこへ行っていたのかしら!!」
「えっ？」

しげよは、たしなめる表情で慶彦に怒っていましたが、慶彦は自分がなんで怒られているのかが理解できなかったのでコンワクしていました。

自分がどうして怒られているのかが理解できずにコンワクしている慶彦に対して、義久は強烈な声で怒鳴り散らしました。

「座れ…座れといよんのが聞こえないのか!!」

しげよは、たしなめる表情で『そこへ座りなさい!!』と慶彦に言いました。

しげよは、慶彦がやーさんたちとの間で起こしたニンジョウザタを厳しくとがめたてたあと、大きくため息をついてからこう言いました。

「慶彦…どないするんでこれから先…」
「えっ？」
「えっ？じゃないでしょ!!慶彦がやーさんたちともめ事を起こした末に、人ひとりの命を奪った上に数人のやーさんたちに大ケガを負わせてしまった…そのうちひとりが失明したのよ!!」

しげよが思い切り怒鳴り声をあげていたのを聞いたすずねは、しげよに対してどうしておだやかに話し合いができないのですかと口出しをしてしまいました。

「おばさま!!やめてください!!慶彦さんは、アタシたち家族と新築したマイホームを守るために正当防衛でやったのです!!」
「すずねさんはだまっていなさい!!あのね慶彦!!おばさんとおじさんが今どんな想いをしているのかがわかってヘンみたいやから怒っているのよ!!慶彦のワガママと自分勝手が原因で晴久とかずみとしげみが大学へ行くことができずにガマンしていたのよ!!慶彦のワガママのせいで３人の子供たちの学資保険が解約されてしまった…あんたはもうしわけないことをしたと思ってヘンみたいね!!」
「慶彦!!オドレはどこのどこまでバカ者なんだ!!あやまれ!!土下座して晴久とかずみとしげみにあやまれ!!」

義久夫婦に思い切り怒鳴られてしまった慶彦は、ビービービービービービー泣いてばかりいたので、あやまることができませんでした。

義久がビービービービーと泣いてばかりいる慶彦を平手打ちで顔をたたきながらワーワーワーワーと叫んでいましたが、しげよたちは義久を止めようせずに冷めた目つきで傍観（なが）めていました。