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第1章 累（かさね）

２

慶彦がチンピラの男たちとニンジョウザタを起こしてしまったことが原因で、一家はせっかく建てた新築の家で暮らして行くことができなくなってしまいましたので、義久夫婦の家でご厄介になることにしました。

義久夫婦は、慶彦が起こしたニンジョウザタを一刻でも早く解決したいと思っていたので義久の知人夫婦の家にお願いをしまして、暴力団との間で生じたもめ事を解決することが専門の弁護士さんを立てて、ジダン交渉をして行くことにしました。

家のことについては、所有権を一時的に裁判所が一定期間（３月31日まで）をもうけて差し押さえて国有地にすることになりたしたので、慶彦の一家は住めなくなってしまいました。

（土地の所有権が登記されているのかどうかを確認することと暴力団関係者とのジダンが成立するまでの間、慶彦の一家が住むことができないと言うことである）

義久夫婦は、慶彦の一家に『４月１日までに家に帰ることができるようにしてあげるから…』とは言うてはいましたが、知人夫婦と会って時にジダン交渉のことを話していたかと言うとそうではありませんでした。

義久夫婦は知人夫婦と会っていましたが身の上会いましたが、単なる雑談で大きな口をあけてアホみたいに嗤って（わらって）時間だけをいちじるしく浪費していたので、肝心なジダン交渉のことについてはコロッと忘れていたようでありました。

義久夫婦は、知人夫婦と別れて家へ帰るときに肝心なことを忘れていたことに気がつくのでありましたが『また今度の機会にすればいいや…』と言いましてズルズルズルズルとあと伸ばしばかりを続けていました。

そうしたことが原因で、晴久たちシングルきょうだいの間で強い不満がくすぶり始めていたのでありました。