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Minerva 〜闇の社交場で生贄となった少女〜
第2章 〜私の過去、私が本当の私に気づいたのは....〜
私は、苦しい胸の内を悟られれば、彼に負けたことになると感じていました。

だから、クラスではそれまでと変わらず明るく気丈に振る舞いました。

私に恐怖と恥辱を与えた彼は、冬休みを過ぎると私たちの学校を去りました。

父親が中東に赴任することになり、再び海外へ転校していったようです。

このときの経験は、恐怖や恥辱として私の心に刻まれています。

でも、負けたくはありませんでした。

私は、当時、自分の見ている世界が、本当の世界の全てではないことを知りました。

つらい経験を、ただつらい思い出にすることが嫌だったんです。

それからの私は貪欲に様々な世界を知ろうと努力しました。

どんな相手でも、どんなルールでも負けない自分になりたかったんです。

だからがんばりました。

けっこう負けない女になれたと思ってます。

でも、最近は負けない女じゃなくていいって思ってます。

大好きなあの人。

あの人と一緒にいると、それだけで幸せなんです。

ここまでの私の秘密をあの人に話したとき、私は彼の腕に抱かれていました。

彼は黙って聞いていましたが、ふと、おでこに冷たさを感じたんです。

少し顔を上げてみると、天井を見据えた彼の目尻から涙が伝ってました。

「泣いてるの?」

って聞いたら、

「泣いてます」

だって。

「なんで」

って聞いたら、

「悲しいし、くやしいです」

って言ってました。

普段、あんまり感情をあらわにしない人だから、キュンときてしまいました。

私が小学生のときに同級生から受けた恥辱。

この経験をバネにしました。

でも....私の中で、もうひとつの変化をもたらす原因になったんです。
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