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郁美の真実 parallel story
第16章 〜早紀〜
現在早紀は父親の海外勤務の際に身につけた語学力を武器に、外資系の企業コンサルティング会社に勤務している。

高い収入、フレックスで自由な勤務時間から、かなり優雅な生活を送っているようだ。

早紀の郁美への対抗心は色々なところに表れる。

Uとの会話でもあったが、早紀には郁美に対する嫉妬がある。

最も私がそう感じたのは、郁美との結婚が決まった直後からだった。

私と早紀が会ったのは、郁美との結婚が決まり、親戚一同に挨拶をしたのが最初だった。

食事の席で酒が進むと、どういうわけか早紀がこっそり私にモーションをかけ始めた。

私には早紀がどいうつもりなのかサッパリ理解できなかったが、そんな早紀の行動は結婚後も続いていた。

私は早紀の郁美への対抗心に気づくにつれ、その行動の真意に気づいた。

早紀は郁美が手に入れたものを単純に欲しがっているのだ。

私を自分になびかせることによって、郁美が手に入れたものは、自分も手に入れることができるということを証明したいのだろう。

そして、密かに郁美から大事なものを奪い、裏で郁美に勝利したことでほくそ笑みたいのだ。

そんなつまらない欲望を満たす道具になるのはまっぴらゴメンだ。

これまでは、郁美と早紀の関係に配慮してうまく受け流してきた。

しかし、状況が変わった。

この、早紀のつまらない嫉妬心を利用してやろうと思う。

私には早紀に対する疑念がある。

郁美が叔父から性的虐待を受け始めた時期、入れ替わりに早紀が叔父から性的虐待を受けることはなくなったようだ。

早紀は自分が性的虐待を受けるのを避けるために郁美を当てがったのではないか?

早紀の腹黒さを考えれば、そんな考えが浮かんでしまう。

早紀を利用する際に真実を聞き出してやろうと思う。

結果次第では痛い目に遭ってもらう。

手始めに早紀との関係を深める。
まずは年末の親戚一同が会する席を利用することにした。
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