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郁美の真実 parallel story
第16章 〜早紀〜
きっと両親にも気を遣っているのだろう。

しかし、早紀に接近するには、郁美がいないほうが都合がいい。

仕方ない。

私はUに連絡を取った。

以前のようにメールでのやり取りでは効率が悪い。

Uと協力関係を結んでからは、SNSのメッセージでのやり取りをするようになっていた。

[KAZUさん年末ヒマでしょ?]


[なんだ?急にどうした?]


[郁美を温泉かどっかに連れてってやってくださいよ。]


[え?!いいのか?]


[例の親戚一同の集まりで、早紀に接近します。郁美がいたら邪魔なんですよ。今年はどうにか連れて行かないようにしたいんですが、うまくいかないんですよ!]


[ナルホド。そういうことなら急な話だが誘ってみるよ。]

[必ず連れてってくださいよ!]


[君な〜、こんな年の瀬にけっこう無茶言ってるんだぞ?!感謝しろ。]


[夫公認で人妻と不倫旅行に行けるんだから感謝してくださいよ!ムカつくな〜。]


[ま、うまくやるよ。そっちも頼んだぜ?]


[じゃあ、郁美には、もうひと押ししておくんで、うまく連れ出してください。早紀のほうもうまくやってみせますよ。]


[了解した!]

翌日、さらに郁美に念押しで親戚一同の会への欠席を勧めた。

郁美は相変わらず「う〜ん....」などと言っている。

しかし、悩むような素振りがあるということは、やっぱり行きたくはないのだろう。

その日の夜、郁美が買い忘れたものがあると言って家を出た。
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