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第18章 〜恋人〜

少し早めに店に入り、予約した個室でビールを飲んでいると、忍び足で近づいていた早紀の冷たく冷えた手が背後から私の首筋にかみついた。

私が「ビク」っと首をすぼめて振り返ると満面の笑顔の早紀が立っていた。

「ただいまっ！」

「ああ！おかえりなさい！疲れたでしょう？ビールでいいですか？」

「うんっ！」

早紀は満面の笑みを浮かべて返事をすると、そそくさと奥の席に座った。

「さびしかった？！」

「あー、まー、さびしかったっす。」

ワザと素っ気なく言うと、早紀は子どものようにほほを膨らませて見せた。

そのほほを指でツンツンしながら「ウソですよ。早紀さんの帰国をスゴ〜く待ってました。」と言うと、また早紀は満面の笑顔に変わるのだった。

(コレじゃ、まるっきり恋人同士じゃないか。今日は重たい話に持ってかないといけないのに。)

そんなやりとりのあとは、早紀の土産話に聞き入った。