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郁美の真実 parallel story
第31章 〜回想、早紀、小学5年生〜

「なんでもルールってものがあるのよ。」
Mが立ち上がり早紀ににじり寄る。
「オレはくだらないルールには従わない。」
大柄なMの迫力に気圧されそうになる早紀だったが、腰に手を当てMを見上げながら睨みつける。
「なにがくだらないよ。まだ世の中のことなんてわかってないくせに。」
「わかってるさ、早紀ちゃんたちみたいに温室で育ってないからね。」
「日本人なんてヌルくてあくびが出るぜ。」
この言葉に早紀はカッとなった。
Mを始め、帰国子女の連中は海外で凡人が経験できないような環境で育っている。
それが実に早紀にとっては羨ましかった。
早紀は幼いながらも、ニュースや新聞で世界を知り、自分が日本の恵まれた環境でぬくぬくと育てられているのではないかという疑問を持っていた。
Mの言葉は、まさに早紀が日頃から悔しいと感じていることを正面から刺激する言葉だった。
早紀は、Mが育った環境に対する憧れや嫉妬を悟られないよう、最大限にMを侮辱する言葉を探してしまった。
「随分エラそうね。なんか世界のことを全部知ってるみたい。」
「ベネズエラだったかコロンビアだったか知らないけど、そんな貧乏くさい発展途上国に行ってた経験がなんになるの?」
「あなたを見てると、きっと身につけてきたのは野蛮さと身勝手さだけなんじゃないかと思うわ。」
「きっと友達もさぞ野蛮だったんでしょうね。」
早紀はMを精一杯侮辱するため、Mの第二の故郷を侮辱してみたのだったが、本当はベネズエラやコロンビアを馬鹿にする考えは持っていなかった。
Mが立ち上がり早紀ににじり寄る。
「オレはくだらないルールには従わない。」
大柄なMの迫力に気圧されそうになる早紀だったが、腰に手を当てMを見上げながら睨みつける。
「なにがくだらないよ。まだ世の中のことなんてわかってないくせに。」
「わかってるさ、早紀ちゃんたちみたいに温室で育ってないからね。」
「日本人なんてヌルくてあくびが出るぜ。」
この言葉に早紀はカッとなった。
Mを始め、帰国子女の連中は海外で凡人が経験できないような環境で育っている。
それが実に早紀にとっては羨ましかった。
早紀は幼いながらも、ニュースや新聞で世界を知り、自分が日本の恵まれた環境でぬくぬくと育てられているのではないかという疑問を持っていた。
Mの言葉は、まさに早紀が日頃から悔しいと感じていることを正面から刺激する言葉だった。
早紀は、Mが育った環境に対する憧れや嫉妬を悟られないよう、最大限にMを侮辱する言葉を探してしまった。
「随分エラそうね。なんか世界のことを全部知ってるみたい。」
「ベネズエラだったかコロンビアだったか知らないけど、そんな貧乏くさい発展途上国に行ってた経験がなんになるの?」
「あなたを見てると、きっと身につけてきたのは野蛮さと身勝手さだけなんじゃないかと思うわ。」
「きっと友達もさぞ野蛮だったんでしょうね。」
早紀はMを精一杯侮辱するため、Mの第二の故郷を侮辱してみたのだったが、本当はベネズエラやコロンビアを馬鹿にする考えは持っていなかった。

