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郁美の真実 parallel story
第33章 わずかな光
海に身を投げようとした早紀は、声を聞いて動きを止めた。
振り返ると真っ黒に日焼けして、ツンツンと髪の毛のはねた男の子が立っていた。
「お姉ちゃん、そこは飛び込んだらいかんバイ!」
「下にテトラがあって、黒い貝がいっぱい付いとうとって!」
「当たったら足が切れて痛いバ〜イ」
「飛び込みで遊ぶんやったらあっちやって!」
「下が砂地やけん、痛くねえバイ」
早紀は男の子の方言がキツくて何を言っているのかわからなかった。
が、なにか勘違いしてアドバイスをしてくれているのは分かった。
「あっちで飛び込みするんやったら....あれ?おねえちゃん....泣いとうと?」
「どうしたん?!」
「わかった!帰り道の分からんくなったとやろ?!」
早紀はハッとした。
涙は流していないのに....
でも、心は泣いていた。
「な、泣いてないよ!」
「あれ、ホントや、泣いとうように見えたっちゃけど」
「君は....なにしてるの?」
「オレ?ほら、キス釣り」
男の子は手に持った釣竿を突き出した。
「....おねえちゃん、どっかよその人やろ?」
「それに....どうやってここに来たと?立入禁止だけん、普通入れんやろ?」
「....うふふ....わかんない!」
「ほら、やっぱり迷子やん」
「うふふ、そうね」
「いいバイ、あとで出口教えるけん」
「ねえ....お魚釣れるの?」
「うん!ここはオレの秘密の場所!めちゃくちゃキスが釣れると!」
「釣ってみて」
「いいバイ」
男の子は竿から伸びる釣り糸の先に、なにかウネウネと動くミミズのような生き物を付けると、竿を思い切り振りかぶった。
釣り糸に付いたオレンジ色のなにかが、びっくりするほど遠くまで飛んで行った。
「おねえちゃん!すぐ来るけん釣ってみる?」
「....うん!」
早紀はいつのまにか男の子のペースに乗せられ、全てを忘れつつあった。
振り返ると真っ黒に日焼けして、ツンツンと髪の毛のはねた男の子が立っていた。
「お姉ちゃん、そこは飛び込んだらいかんバイ!」
「下にテトラがあって、黒い貝がいっぱい付いとうとって!」
「当たったら足が切れて痛いバ〜イ」
「飛び込みで遊ぶんやったらあっちやって!」
「下が砂地やけん、痛くねえバイ」
早紀は男の子の方言がキツくて何を言っているのかわからなかった。
が、なにか勘違いしてアドバイスをしてくれているのは分かった。
「あっちで飛び込みするんやったら....あれ?おねえちゃん....泣いとうと?」
「どうしたん?!」
「わかった!帰り道の分からんくなったとやろ?!」
早紀はハッとした。
涙は流していないのに....
でも、心は泣いていた。
「な、泣いてないよ!」
「あれ、ホントや、泣いとうように見えたっちゃけど」
「君は....なにしてるの?」
「オレ?ほら、キス釣り」
男の子は手に持った釣竿を突き出した。
「....おねえちゃん、どっかよその人やろ?」
「それに....どうやってここに来たと?立入禁止だけん、普通入れんやろ?」
「....うふふ....わかんない!」
「ほら、やっぱり迷子やん」
「うふふ、そうね」
「いいバイ、あとで出口教えるけん」
「ねえ....お魚釣れるの?」
「うん!ここはオレの秘密の場所!めちゃくちゃキスが釣れると!」
「釣ってみて」
「いいバイ」
男の子は竿から伸びる釣り糸の先に、なにかウネウネと動くミミズのような生き物を付けると、竿を思い切り振りかぶった。
釣り糸に付いたオレンジ色のなにかが、びっくりするほど遠くまで飛んで行った。
「おねえちゃん!すぐ来るけん釣ってみる?」
「....うん!」
早紀はいつのまにか男の子のペースに乗せられ、全てを忘れつつあった。