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郁美の真実 parallel story
第36章 Minerva
私とGを乗せた高級車は、しばらく走行すると外資系の高級ホテルに到着した。

「お疲れさまでした」

「こちらのホテルの一室に場所を用意してございますのでご案内します」

説明なんて、どっかの喫茶店でもいいだろうに、こんな高級ホテルの一室を使うとは、いったい何が起こっているのだろう。

素朴な質問ぐらいはぶつけてみることにした。

「これだけの場所を使うなんて、身辺調査にしちゃ、経費かかりすぎじゃないんですか?」

「ご心配には及びません、全て貴方のご招待費用に含まれてお支払いされていますので」

「招待?」

「のちほど詳しくご説明いたします」

案内された部屋は、ずいぶん見晴らしもよく明るい部屋で、どんな場所に監禁されるのかと思っていた私は、少々拍子抜けした。

「さあ、お掛けください」

「お飲み物をご用意いたします、何がよろしいですか」

「....ああ、コーヒーで....」

Gは、随行していたホテルの従業員にコーヒーの注文を告げると、間もなくワゴンごと品のあるコーヒーセットが提供された。

「さて、お待たせいたしました」

「まずは、この身辺調査は、貴方に危害を加えるための行為でないことは誓ってご説明させていただいておきます」

「....では、どんな理由で....?」

「私どもの催しにご招待するためです」

「....?」

「正確には、早紀さまとおっしゃられる女性が招待依頼者となっていますが」

「早紀さまの詳しいお名前などは私どもには伝達されておりませんが、十数年来私どもの催しに関わっておられますので、貴方がご存知の早紀さまに相違ございません」

「早紀さんが?!」

「早紀さんの招待で、なんで身辺調査なんか....」

「私どもの催しに理由がございます」

「我々のコミュニティは『ミナーヴァ』と呼ばれています」

「ミナーヴァの催しというのは、どなたでも出入りできるものではありません」

「一定の審査がございます」

「ある程度人物調査を行い、いくつかの条件に誓約していただいて、初めて参加が可能となるのです」

「誓約いただけそうにない人物や、すでにミナーヴァに関係する方のご紹介がない方は、このような面接以前にお断りさせていただいています」

「誓約?」

「のちほどご説明いたします」


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