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郁美の真実 parallel story
第36章 Minerva
翌日の夕方、職場を出ると黒いワンボックスタイプの車が待っていた。

例の初老の男性「G」が私の姿を目ざとく見つけて車から降りてくると声をかける。

「お約束の時間よりは少し早いようですが、どうなさいますか?」

「連れて行ってください」

Gとともに車に乗り込んだ。

迎えの車は、中は広くて豪華だが、中からは全く外が見えない状態になっていた。

「どこへ向かうかは秘密ってことですか」

「はい、申し訳ありません、場所が場所ですので」

車は約1時間の間、右に行ったり左に行ったり、ときには高速で走行したりで、いったいどこへ向かったのかは予測できなかった。

最後はかなり降っていき、どうやらどこかの地下にでも入ったようだった。

「こちらで乗り替えになります」

促されて車を降りると、黒いスーツ姿の男が2人現れる。

Gとスーツ姿の男たちと歩き、薄暗い地下駐車場から扉をいくつかくぐったあと、地下鉄のホームらしき場所にたどり着く。

「これは....」

通常の駅ではないらしい。

私たちの他に乗客らしき人の姿はない。

程なくして、ホームに灰色で飾り気のない列車が入ってきた。

促されて列車に乗ると、さらに個室へと案内された。

「これ....専用列車ですよね?一体どれだけの規模の組織なんですか?」

「多くはお話できませんが、このような設備を管理維持することからお察しください」

「....」

ものの10分ほど列車が走行すると、どうやら目的地に着いた。

しばらくまたいくつかの扉をくぐり、エレベーターを経て、入口の向かいの壁面が鏡になった風変わりな個室へと案内された。

私が部屋へ入ると、引き続き飲み物が用意される。

どうやらここはかなりのVIP向けの部屋らしいが、壁面が鏡なのが落ち着かない。

引き続きGが私の接待に当たるようだ。

「あなたがご招待を受けたイベントまでは、まだ1時間ほどありますが、今行われている催しもご覧になりますか?」

「....催し....どんなものなんでしょう?」

「なかなか言葉では説明しにくいところではありますが、ご覧になるのが早いかとも思います」

「わかりました....見せてください」

「かしこまりました」

そう言うと、Gは壁面に設置されたパネルを操作し始めた。
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