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郁美の真実 parallel story
第36章 Minerva
Gがパネルを操作すると、一面鏡だと思っていた壁面が透きとおり、なにやら格闘技場のようなものと、その場を階段状にとり囲む座席で熱狂する人々の姿が見えた。

「電流の制御で、鏡面にしたりガラスにしたりできます」

「現在はこちらからは外が見えますが、外からはこちらを見ることができなくなくなっていますので、ご安心ください」

そう説明を受けた。

以前、経済誌か何かで透明度を電流で制御できるガラスの記事を読んだことがある。

その類なのだろうというのは分かったが、なんとも大掛かりだ。

一面ガラスになった壁面の向こうには、催しとやらに熱狂する人々の姿は見えるが、部屋の中は全くの静寂だった。

再び格闘技かなにかかと思っていた景色に目を向けると、すぐにその異様さに気づいた。

観客に囲まれたステージのような場所には、髪を振り乱し、衣服が所々引き裂かれた若い女性と、半裸の小太りのハゲた男が対峙している。

さらに表情を見ると、二人とも鼻や目尻から血が滴り落ちていた。

血を流している光景も異様ではあるが、さらに女性の顔を見て驚いた。

彼女を見たことがある。

確か、去年あたりまでグラビアアイドルとしてよくバラエティ番組に出演していた子だ。

最近目にすることが少なくなっていたが....

そんなことを考えていると、半裸の男が女性の下半身に飛びかかった。

男の動きはいかにも素人といった感じで、とても格闘技という感じではなかった。

それが余計に光景の異様さを醸し出していた。

男が必死に女性につかみかかり、もつれあって倒れ込む。

女性は必死になって男の顔を引っ掻いたり叩いたりしているが、体重差はどうすることも出来ず、とうとう男に馬乗りになられてしまった。

女性は激しく抵抗しているが、男が容赦なく女性の顔面をこぶしで殴りつける。

女性はやがて抵抗する力もなくなり、グッタリとしてしまった。

そこからは一方的で、女性は衣服を破られ剥ぎ取られ、凄惨なレイプショーだった。

私がその光景を茫然と眺めていると、初老の男性が私に問いかける。

「会場の音声を聞くこともできますが、どうなさいますか?」

「....」

私はガラスの壁面から離れてソファーに腰をおろした。

「結構です、壁も鏡に戻してください」

「わかりました」
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