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あらがわない夜を、あなたと
第6章 夜に落ちるための夜
格が自分の性癖に気づいたのは、みなみよりもずっと遅い。生まれ落ちた頃から残酷だったわけではない。
人の営みってこういうものという理解のもと、説明書通りの性行為を行い、きちんと果ててきた。
射精は気持ちがいい。女性の、自分とは違う肌をやわやわと触るのも楽しい。

あれはまだ格が社会人になって2年目の頃だった。
学生時代から彼氏彼女関係であった相手と、いつものように清く正しいセックスをしていた夜だった。

「たまには、ちょっと趣向を変えてみない?」

提案したのは彼女で、そこは格のアパートだった。
思案したのち格は、先ほど外したばかりのネクタイを持ち出した。
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