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君の光になる。
第4章 会いたい
 夕子は電車を降りた。乗車した駅から三十分ほどの場所だ。
 シューと扉が開く。風が草の碧い匂いと土の匂いだ。人の行き交う音もほとんどない。ここが日本かと思うくらいに、まるで、異次元にでもタイムスリップしたようだった。

 コロンコロン……。

 優しい空洞ある木を叩いたような音。コンビニなどで聞く人工の入店音にはない優しい響きだ。ドライヤーで頭を乾かしたときのような匂い。

 ――美容室……? 安倍さんの……?

「立花さん、ここへ……」
 肩を軽く押される。

 膝に柔らかい座面が触れる。

 ――椅子……。

「あの……立花さんの髪をカットさせてください」
 安倍が唐突に言った。

「あ、はい、お願いします」
 パサっという音がした。フワリと布が首の周りに掛けられるのが分かった。

「あの、どのように……致しましょう?」
 夕子の髪がフワリと浮き上がり、空気を含んでフワリと夕子の肩に着地した。

「あ、じゃあ、広末涼子ちゃんみたいに……」と夕子は笑いながら言ってみた。

「はい、分かりました」

「え……出来るんですか?」
 夕子はトニックシャンプーの匂いの方向を見た。

「出来るだけ最善を尽くします」と安倍の声が笑う。チャチャチャというハサミを入れる鉄の音と、パラパラと髪が滑り落ちる音が交互に聞こえる。
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