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片想い
第1章 片想い
しばらくすると、飯島さん、どうぞ、と声がかかり、僕は診察室の中へ入った。
診察用のベッドに彩夏が寝ていた。お腹がまくられてむき出しになっている。下半身には毛布が掛けられていた。
女の先生が、隣に座り、彩夏のお腹に器具をあてている。
「旦那さまですか。どうぞこちらへ」
僕に気づいた先生が、椅子を勧めてくれた。
「いま、胎内の赤ちゃんの様子を見ているところです」
そう言って先生が顔を僕に向けた。先生の目と僕の目が合う。その瞬間、時間が止まった。僕たちは、しばらくお互いの顔を見つめ合った。
「……真ちゃん?」
先生が聞いてきた。
僕は頷きながら、
「……涼子さん?」と先生に聞き返した。
今度は先生がゆっくり頷く。
「真ちゃん、久しぶり! こんなところで会えるなんて!」
「ほんと、すごい偶然ですね! 彩夏の先生が、涼子さんだったなんて!」
僕たちは驚きながら、再会を喜び合った。
涼子さんは、相変わらず美しかった。鼻筋の通った彫の深い顔、二重のパッチリした目、品のいい口元……。彩夏が、すごい美人、と言っていたのは間違いなかった。
「二人とも知り合いだったんですか?」
ベッドに寝ている彩夏が聞いてきた。
「うん。幼馴染の国沢涼子さん。今は……」
「結婚して山崎涼子よ。むかし真ちゃんとはお隣同士だったの」
「お隣同士……」
彩夏がちょっと怪訝な表情をした。
「真ちゃん、懐かしいけど、今は診察中だから奥さまを診るわね。話は今度、ゆっくりしましょう」
涼子さんは、医者の顔に戻ると、器具を操作して、モニターに映る彩夏のお腹の中の赤ちゃんの様子を説明してくれた。僕にはよくわからなかったが、それでも頭や身体がちゃんとあることは確認できた。なんだか僕は感動した。僕の子どもがいる、という実感のようなものが湧いてきた。
「元気な赤ちゃんよ。真ちゃん、おめでとう」
涼子さんが微笑みながら言ってくれた。
診察用のベッドに彩夏が寝ていた。お腹がまくられてむき出しになっている。下半身には毛布が掛けられていた。
女の先生が、隣に座り、彩夏のお腹に器具をあてている。
「旦那さまですか。どうぞこちらへ」
僕に気づいた先生が、椅子を勧めてくれた。
「いま、胎内の赤ちゃんの様子を見ているところです」
そう言って先生が顔を僕に向けた。先生の目と僕の目が合う。その瞬間、時間が止まった。僕たちは、しばらくお互いの顔を見つめ合った。
「……真ちゃん?」
先生が聞いてきた。
僕は頷きながら、
「……涼子さん?」と先生に聞き返した。
今度は先生がゆっくり頷く。
「真ちゃん、久しぶり! こんなところで会えるなんて!」
「ほんと、すごい偶然ですね! 彩夏の先生が、涼子さんだったなんて!」
僕たちは驚きながら、再会を喜び合った。
涼子さんは、相変わらず美しかった。鼻筋の通った彫の深い顔、二重のパッチリした目、品のいい口元……。彩夏が、すごい美人、と言っていたのは間違いなかった。
「二人とも知り合いだったんですか?」
ベッドに寝ている彩夏が聞いてきた。
「うん。幼馴染の国沢涼子さん。今は……」
「結婚して山崎涼子よ。むかし真ちゃんとはお隣同士だったの」
「お隣同士……」
彩夏がちょっと怪訝な表情をした。
「真ちゃん、懐かしいけど、今は診察中だから奥さまを診るわね。話は今度、ゆっくりしましょう」
涼子さんは、医者の顔に戻ると、器具を操作して、モニターに映る彩夏のお腹の中の赤ちゃんの様子を説明してくれた。僕にはよくわからなかったが、それでも頭や身体がちゃんとあることは確認できた。なんだか僕は感動した。僕の子どもがいる、という実感のようなものが湧いてきた。
「元気な赤ちゃんよ。真ちゃん、おめでとう」
涼子さんが微笑みながら言ってくれた。