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魔法使いの誤算
第4章 /4
「愛ってさ、駄目だと分かってるのに相手を受け入れちゃうもんじゃないかな?個人的な考えだけど私はそう思うの。ゆーちゃんは彼を受け入れる事を躊躇うんでしょ?何の問題も壁もない優しくて格好いい彼をさ。それって愛してないから心が拒絶してるんじゃない?」
一言一言、宮里さんの言葉達が脳味噌に胸に埋まっていきギチギチと嫌な音をたてる。
「宮さん、さすがに辛辣過ぎますよ……」
暗くなっていく私の表情を見て玲香が宮里さんがこれ以上私を言葉で殴らないよう止める。
私は平気なふりをして『本当にキツいなぁ宮里さんは』と笑って見せたが、頭も胸の中も痛くて泣いてしまいたかった。
私の笑顔が無理矢理作ったものだと気づいたのか、玲香は宮里さんに何やら理由をつけて私のいる部屋から宮里さんを連れて出て行った。
部屋の外からは『まだ話の途中』と玲香に文句をつける宮里さんの声が聞こえた。
あれ以上は、聞きたくなかったから助かった。
宮里さんは物事をハッキリと言うタイプの人だが、今回はかなり効いた。
『"情"を"愛"だと勘違いしてるんじゃない?』
この言葉が一番痛かった。
躊躇う理由にその言葉は似合いすぎている。
私は、ひどい女だ。
宮里さんの言葉に殴られながら納得していた。
だから辛くてあれ以上は聞きたくなかった。
何かが宮里さんの言葉により剥がされてしまう気がした。
頭を抱え目を閉じる。
ゆっくりと京平の顔を思い出しながら自分に問う。
私は京平を愛してる?
『夕日、愛してるよ。夕日は?』
頭の中で彼も同じ事を聞いてきた。
私は頭の中の彼に答えた。
「愛してる」
カッチン……と、合わない凹凸が無理矢理嵌め込まれ何かが折れたような音がした。