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魔法使いの誤算
第4章 /4
スマホゲームをする京平の髪で遊びながら宮里さんに言われた事を思い出し、気持ちが重くなる。
その重くなった気持ちを和らげたくて私は京平の頭を撫でて、後ろから抱きしめた。
ソファー越しに抱き締められた京平は『なになにー?』と笑いながらスマホゲームを中断し、振り向いた。
私の腕を解き、立っている私を見上げる京平の目を見ると心が痛くなった。
「どうした?」
「嫌なこと、思い出してた」
「嫌なこと?どんな?」
嫌なことと言うマイナスな言葉に京平の顔つきが一瞬で鋭くなった。
威嚇する野良犬のような目で私を見つめる。
君はいつもそうやって過保護だ。
私を傷つけるものに対して京平は昔から敵意を剥き出しにする。
君は私に対して過剰で過保護で甘い。
「嫌なことは嫌なことー」
幼い子供が戯れるように京平の頭をグシャグシャに撫でながら誤魔化した。
京平は髪をグシャグシャにする私の腕を掴み、心配そうにもう一度見上げた。
「大丈夫。心配しないで」
心配そうに私を見る京平の両頬を包み、膝立ちになりキスをする。
私にキスされた京平は納得していない顔をしながら鼻先をスリスリと私の鼻先に擦り付けた。
「隣来て」
京平にそう言われ、私は素直に応じた。
隣に座り京平の肩に顔をもたれる。
仄かに石鹸の香りがして凄く落ち着く。