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君に熱視線゚
第53章 恋の修羅場ラバンバ!
広いバルコニーのあるマンションの最上階。そこは陽当たりの悪い田中家とは違い燦々に太陽が降り注ぐ。
苗の小さな自家菜園は日増しに増えていった。
お洒落なデザイナーズマンションの筈なのに何処か貧乏臭さが漂うのは、センスも見た目も気にせずに兎に角色んな空容器で植物栽培を始める苗の色が濃く現れているからだろうか……。
だが、晴樹としてはそのチグハグさも一つの楽しみとなっている。
「あのセンスは苗にしか出せない……」
「……?…」
また何かを呟いた晴樹を直哉は振り向いていた……。
静かな教室で、二人は数台の小さなモニターに集中する。
各ツアーの情景がそこには映し出されていた。
「苗!」
「あ、大ちゃん」
克也を連れた夏目が苗を見つけて声を掛けた。
夏目はキョロキョロと周りを伺う仕草を見せる。
晴樹の姿が何処にも見当たらない。
「あいつは?……」
夏目はコソッと訊ねた。
「あいつ?…兄さんのこと?」
「うん……」
「居ないよ?なんか今回は企画側だから参加できないみたい」
「まじ!?」
夏目の顔が嬉しそうに綻んでいた。