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君に熱視線゚
第53章 恋の修羅場ラバンバ!
「──っ…」
真っ暗な廊下の奥深く。
懐中電灯で照らせばオレンジ色の光がボンヤリと浮いていた。
「──…きっ…」
叫ぶ声も出きらずに、由美はその場で白眼を剥くと気を失って倒れていた。
「由美っ……」
廊下の奥から切羽詰まった声で呼び掛けられた。
勢いよく近付いてくる、チカチカと揺れる白い灯り。
慌てて駈けて来たのは夏目と克哉の二人だった。
手には懐中電灯と赤いネットに入った玉葱をぶら下げている。
「なんだ玉葱じゃんっ…」
オレンジに光ったのは懐中電灯の灯りに反射した玉葱の皮だったのだ。
正体が知れて苗はホッと胸を撫で下ろしていた……。克哉は気絶した由美を抱き上げる。
「俺、由美と先に戻るから」
ゴールまで早々と制覇した夏目達は、食材の玉葱を手に入れて帰る途中だったのだ。
「玉葱は俺が持って戻るから由美だけ連れて行けよ」
「ああ、悪いな。頼む」
詫びる克哉を急かすように夏目は手を振る。
小さくなっていく克哉の背中を見届けると、夏目は思わず顔を緩ませた。
やばい…っ…
嬉しくてファイティングポーズ決めちゃいそうだっ…
夏目は脇で拳をぎゅっと握っていた。
苗を偶然に見つけてしかも二人きり。この状況に気持ちが高揚する夏目の表情は、鼻がヒクヒクと膨らんでいる。
「──っ…あいつっ…」
晴樹は一瞬モニターに映った二人を見て呟いた。