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君に熱視線゚
第53章 恋の修羅場ラバンバ!
「直哉……ちょっと席外すから」
「……わかりました」
チッと舌を強く打って腰を上げた晴樹に直哉は頷いて返す。
出ていく晴樹の後ろ姿を見送ると、直哉はモニターを見て動きを止めた。
「これか……」
顎に手を当てて呟くと、その場から移動する苗達をカメラで追った。
見通しの悪い中、懐中電灯を手にして晴樹は古い校舎の廊下を歩く。
ゲームに参加する生徒とカチ合わないように、晴樹は壁際に身を隠しながら苗達が居る場所へ足早に向かった。
「……っ…どいつもこいつもっ…なんで諦めない…っ」
晴樹は暗闇の中で呟いた。
婚約しているにも関わらず、恋敵は引き下がらない。両想いなのに片想いの時と同じようにいつまでも不安が付きまとう。
「……っ…」
晴樹は唇を噛み締めた。
モニター室から苗の所までは結構距離がある。
暗幕で囲われた慣れない渡り廊下を抜けて、急ぎ足で向かう晴樹の表情には焦りが浮かんでいた。
「苗、俺が付いてるから大丈夫だって!」
「うぅあ…っ…でもこの先は行きたくないだよ…っ」
足を突っ張りながら歩く苗の肩を抱き、思いきり密着しながら夏目は苗を誘導していた。