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君に熱視線゚
第53章 恋の修羅場ラバンバ!

「はあっ…お、おばちゃん!…っ…み、水を」

「まあまあ、そんな走ったら苗ちゃんまた咳が…」

「俺もみずっ…」

苗は学校から近い、悟の家に逃げ込んだ。
開放間溢れる広い庭から縁側に周り、そこにいた家政婦のおばちゃんに水を求める。

おばちゃんは苗の息の荒さを気にしながら言った。

「水より丁度今、大旦那様がスイカを切るって言うから居間に」

「……スイカを? よし!苗、行くぞ」

「うん!」

こんなに暑い真夏だ。水より甘くて冷たいスイカがデリシャスに決まってる!

さっきまでの恐怖は物の数秒で忘れ、表情を輝かせた苗は、居間に辿り着くと悟と共に切りたてのスイカを頬張った。

「悟!苗ちゃん、こっち向いて。写真とるから」

悟の父がカメラを構える。

毎年恒例。苗が帰省して東郷家に来る度に行う写真撮影だ。

この年もまた、楽しい思い出となってアルバムに治められる。

悟は三角に切られた大きなスイカを持ってピースをする。その隙を狙った苗が悟のスイカの一番甘いてっぺんにかじりついていた……。

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