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君に熱視線゚
第13章 キスマニア
―カチャ!
「もう、帰るぞ‥」
着替えを済ませ洗面所から出てきた晴樹は苗に声をかけ部屋を出た──
苗は重い腰を上げ、晴樹の後を着いていく‥‥
‥はぁ…
兄さんにはもう頼れない‥何とかしなきゃ‥‥‥
晴樹の後からエレベーター乗り込みながら、苗は肩を落としため息をついた。
黙ったままの晴樹を見上げては苗は何度もため息をこぼす
うつ向きながら肩を落として歩く姿は裸の大将そのものだった。
「大将、どこ行くんだ?」
いつの間にか晴樹とは違う方向に向かって歩く苗を晴樹は呼び止めた。
拗ねた表情で下唇を突き出し振り返った苗は今にも線路沿いに向かって逃げ出しそうなほどに大将だった──。
「おいで‥
腹減ったから何か食べて帰ろう‥‥‥」
車の助手席を開けて手招きする晴樹のもとへ、とぼとぼと戻り、大将…いや、苗は車に乗り込む‥‥
‥これが最後の晩餐になるんだ‥‥‥
普段なら嬉しい筈の食事の誘いも最後だと考えるだけで悲しい‥
車は賑やかな交差点を過ぎて駐車場に止まる‥‥
うつ向いたままの苗はどこに連れてこられたかわからなかった‥