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君に熱視線゚
第13章 キスマニア
ある店の前に来ると
暖簾(のれん)をくぐれば、威勢のいい声が聞こえてくる
「らっしゃい!!
お、久しぶり!カウンター空いてるよ!」
「あぁ、ごめん。
ちょっと今日は個室にしとくよ
服装がラフ過ぎるからさ‥」
さすがに裸の大将ルックの苗をカウンターに座らせるわけにはいかない。
晴樹は暖簾越しに中の人にボソボソっと声をかけた‥
そして、店の人が晴樹達を個室へと案内する‥
店の中は酸味の聞いた匂いと檜の香りが、すがすがしく漂っていた。
掘りごたつのテーブルにつき晴樹は苗にメニューを見せた。
アワビ、大トロ、ボタン海老、踊り
様々な魚介名の下には値段らしきものが書いていない。
ここは銀座の一角にある隠れ家的、超高級寿司店。
種類の少ない、おしながきには常連さん専用のメニューが用意されているせいもあった‥
「載ってないのも頼めば出てくるよ‥わからなきゃお任せにしとくか?」
晴樹の助言に苗は頷いた。
頼んだ料理がどんどん運ばれてくるが、苗はあまり箸が進まない‥
「どうした?
寿司嫌いだったか?」
晴樹の問いかけに苗は首を振り、そしてシクシクと泣き始めた。