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君に熱視線゚
第41章 心の変化(苗の異変)
力なく開かれた瞼を数回瞬くと、車の天井に目をやりふと、バックミラーを覗き込む。そこには後方から歩いてくる苗の姿が映し出されていた‥
晴樹はそんな苗を遠い目で見つめている‥
‥苗、
俺がまたお前から離れていったらお前はすがりついてくるんだろ?
夏目と付き合い始めた苗に、晴樹から切り出した縁切り宣告‥
苗はあの時、必死になって晴樹の携帯にメールと電話を繰り返し入れていた。
“苗の傍にいて──”
“兄さん居ないと苗はだめだょ”
すごく嬉しくて‥すごく複雑で‥
だって届けられたその言葉はすべて、援助のためだから‥
俺自身を想って届けられた言葉は一つもない‥
どんどん近づいてくる苗をミラー越しに見つめると、晴樹はふと眉を寄せ悲しそうに顔を歪めた。
「兄さん!お待たっ」
車までたどり着くと、助手席のドアを開けて明るく声をかけてくる苗に晴樹はとっさに作り笑いを浮かべ、苗を迎えていた‥。
‥苗を送るのもあと二週間‥‥たぶん二人付き合い始めたら、夏目はなるべく俺から苗を引き離そうとするはず‥