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君に熱視線゚
第41章 心の変化(苗の異変)
なんとなく、リディにかまってばかりの晴樹に寂しさが募る‥
「はぁ‥」
‥もう、帰ろうかな‥
そんな思いと共にため息をつくとお腹も鳴りだしていた。
楽しみにしていた映画が観れなくなった途端、忘れていた空腹が苗を襲い始めていたのだ。
晴樹は店の外で待っていた苗が気に掛り、ふと目を向けると苗がとぼとぼと歩き近くのベンチに腰掛ける姿が目に入った…
―――‥あれ‥
‥‥苗?
晴樹はうつ向いた苗の姿を目に止め、リディの腕をほどく。
そして隣にゆっくりと腰を下ろす晴樹に苗は気づいた‥
「――‥ぁ、兄さん‥」
「ごめんな苗‥
疲れたか?
この買い物が終わったら映画行こうな‥」
「‥ぅん‥」
苗の顔を覗き込み頭を撫でながら優しく声をかける。そんな晴樹に、苗は元気なく返事を返すと顔を上げた。
「でも、もう‥帰るよ」
「──っ‥帰る!?‥」
晴樹は目を見開き聞き返す
「‥なんで!?
観たい映画だったんだろ!?」
‥そんなこと言うなよ‥
なんだか苗の言葉に胸が締め付けられた気がした。