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君に熱視線゚
第42章 すれ違い
毎日、苗のことをこんなに想ってるのに‥肝心な時に苗を大事にすることが出来ない‥
これじゃどんなに苗を好きだって言っても自分のエゴでしかない‥
気持ちの押し売りみたいなもんか?
所詮‥‥‥
やっぱり一方通行‥
交わることのない想いなのかもな‥‥
晴樹はそんなことを思いながらクスリと小さな笑いを溢す
失恋‥‥‥か‥
──‥っ
「失ないたくなんかねぇっつーの‥ッ」
ぽつりと吐き捨て、やりきれない想いを誤魔化すように晴樹は廊下の壁を拳の横で叩きながら歩く‥
ざわつく胸が痛い‥
苗のことが好き‥
可愛い苗が‥
すごく大好き。
…もう、いっそのこと拐ってくか?
───‥って‥
ほらな‥やっぱり俺は自分のことしか考えてない‥
‥無理だなこれじゃ‥
こんな俺じゃ──
苗の我が侭なんて聞いてやる余裕ないし!!
締め付ける胸の痛みを堪えながら晴樹は歩く足を止めて顔を歪める
そしてもたげた頭をゆっくりと上げて、病室の入室者名の書かれた札を指でなぞり確かめた