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君に熱視線゚
第42章 すれ違い

‥苗‥‥


ゆっくりとドアを開けて晴樹は暗い病室を見回す


精神科は一人部屋の為、苗の他にもちろん患者はいない‥
晴樹は点滴をつけたままの苗を痛々しい表情で見つめていた

苗の寝ているベッドの側に腰掛け晴樹は苗の額に優しく手をかける

少し汗を滲ませる額をタオルで拭いてあげながら、点滴を刺した腕に目をやると寝ているうちに動かないように、ベッドに結びつけられていた‥


「かわいそうにな‥

ごめんな‥苗‥

映画になんか誘わなきゃよかったな‥」


苗の頭を撫で、ふっくらとした頬に触れながら晴樹は苗の熱い手をそっと握る



「‥‥‥なえ‥ごめ‥」



苗の熱い手を体温を計るように晴樹は自分の唇に押し付ける
熱すぎる温度が唇を通して伝わり、いかに苗が今、高熱と闘っているかを物語っていた


「‥‥ごめ‥なえ‥
渡したくなか‥‥っ‥
‥誰にも‥渡したくなかったからッ‥‥‥

焦り過ぎた──ッ‥」


少しでも苗と居たい。そんな欲張りな感情が招いてしまった‥
溢れる涙も止めることが出来ず晴樹はたくさんのごめんを繰り返し呟く‥

声にならない声で繰り返し‥何度も何度も‥



晴樹は、苗に詫びていた…


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