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君に熱視線゚
第42章 すれ違い

薄暗い静かな病室内、晴樹は肩を震わせ声を殺す

なんでこんなに好きになったのか‥

ただ、初めてのことだった。
晴樹にとって、苗は初めてずっと一緒に居たいと思わせる相手だった…

涙で濡れた手で晴樹は苗のおでこに張り付いた前髪を優しくとかす
初めて出会ったあの日‥
その時も晴樹は苗のおでこに汗で張り付いた毛束をとかしてあげた

思い出すと笑みが溢れ‥
再び晴樹の顔は涙で歪む

「っ‥なえッ‥」

おえつにも似た声がとっさに漏れ、晴樹は自分の口を塞ぎ歯を喰いしばった
息を堪え背中に力を入れる。そんな晴樹の肩をごつっとした誰かの手が包み込んだ。

硬い手の平なのに何故かホッと落ち着く温度が伝わってくる‥

「―――‥!、おじさ‥」


後ろを振り返ると満作が予備の椅子に腰掛けながら口を開いた


「‥‥母ちゃんがな、なんだ、お前がえらい苗のこと気にしてたから、今頃自分責めてんじゃないかって言うからよ」


満作はへへ、と笑いながら顔をポリポリと掻く

「まぁ、こいつの病気は気にするこたぁねえ。なんだかんだいって家の女達は図太ぇし苗もお前に助けてもらってからだいぶ楽になったってはしゃいでやがるしな‥」

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