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君に熱視線゚
第43章 距離…
『なんでアイツが来るんだよ!?
苗が頼んだのか!?』
問いただす晴樹の口調は無意識に強くなり、苗はその声を遠くで聞くかのように頭で捉える‥
苗はぼうっと晴樹の声を聞きながら応えていた。
「うん。あのね、
兄さん忙しいからと思って大ちゃんにお願いしただょ。したら大ちゃん来てくれるって言ったから‥」
苗は大嘘をついていた…
勿論、夏目にお願いしていなければ夏目自身、苗が救急車で運ばれたことも今日学校を休んでいることも知らされていない。
ランチタイムに由美と顔を合わさない限り、夏目は現時点で苗が入院していることも知るよしはないのだから
『苗、俺が迎え断るから夏目の番号教えろ…』
「‥‥‥」
声音の低くなった晴樹に苗は無言で返す
『苗!‥』
‥頼むから言うこと聞いてくれっ!
怒鳴りそうな自分がいるッ
自分よりライバルの夏目を選ぶ苗に感情のままあたり散らしそうな自分が‥
携帯を持つ手に力が入りミシッと機体が軋む音が聞こえた。
『苗、
‥夏目は大事な大会控えてんだから、こんなことで振り回すなよ…な、
俺だってそんなに忙しいって訳じゃ‥』