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君に熱視線゚
第44章 恋の行方
「ハハ‥たいしたことじゃないからいいわ、別に‥」
きょとんとする苗に晴樹は額を掻きながら苦笑いを浮かべて見せる。
遠慮しながらも何度か口を開きかけた晴樹だったが結局何かを諦めたようにため息を吐くと今度は寂し気な笑みを向けていた‥
「じゃあ、な‥」
言いたい言葉があった‥
伝えたい想いもあった‥
考えて見れば今日が最後だったのかもしれない‥
苗に会えるのは…
でも、わざわざ伝える程のことじゃない‥
俺がアメリカに行くことも、もしかしたら‥もう、日本に戻らないかもしれないことも‥
苗には関係のないことだから‥
だから‥
わざわざ伝える程のことじゃ‥
「じゃあ‥車出してください。」
晴樹は運転手にそう伝えると、車から離れた。
バタンと自動で閉められたドアの音に諦めた胸が一瞬きゅっと軋む‥
全てを締めくくられた‥
晴樹にはそんな風に感じられていた‥
諦めたくはなかった‥
でもこればっかりは‥
「‥しょうがないよな…」
クスッと悲しい笑みを溢しながら諦めの言葉を晴樹は呟く。
そして、ふと顔を上げると閉められたドア越しに自分を見つめる苗と目があった‥