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君に熱視線゚
第45章 恋の片道切符
「・・・・・」
「‥‥‥
苗‥どうした?
メシ食わねえのか?」
「・・・・・」
「‥‥‥」
夕飯の仕度を済ませテーブルについた田中一家だったが、食事に手を付けない長女の様子を皆が気にかけていた。
苗は正座したまま村井から受け取ったタクシーチケットとデパートの商品券の束を眺め呆然としている‥
呼びかける満作の声は届いていないようだった‥
‥兄さん‥なんで…
『苗さん。晴樹さんが苗さんにコレをと‥
ちょっとこれから忙しくなるから晴樹さんは時間が取れないと。コレは自由に使って下さいって事で‥』
苗が帰宅した頃にちょうど現れた村井の言葉‥
‥そんなにあの娘につきっきりになっちゃうだね‥。
‥む‥
「‥‥むうぅ‥」
「‥‥?」
難しい顔をして唸り声をあげる長女を家族全員が見守っていた‥
―チャプン‥
「‥むぅぅ…」
湯気に包まれ浴槽の中‥
苗はあいもかわらず唸っている
苗は風呂から上がると今日の帰り際、口パクで晴樹に伝えたようにメールを打った。