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君に熱視線゚
第45章 恋の片道切符
「あ、晴樹クン来たみたいだわ」
新しすぎて革の伸びにくいブーツと格闘している二人の耳に晴樹の車のエンジン音が聞こえてきていた
「あ、兄さん!ちょっと待ってて」
玄関の前に着いたことを知らせる携帯の着信音‥
苗は電話に出るなり、そう返事を返す。
ブーツのチャックはまだ締められていなかった‥
「はぁ、ごみん兄さん!!」
───!
「………っ…
‥‥‥‥///」
苗が出てくるまで車に背を預けて寄りかかりながら待っていた晴樹は目の前に現れた少女に息を飲んだ。
「はあ、ブーツ履くって体力いるだねっ」
「‥‥‥‥//」
息をきらし、疲れた顔で話す少女に晴樹は無言で車の助手席を開けて中を勧める。そして何気に口元を隠した。
街に向かい走り出す車の中‥
晴樹は鼻歌を歌う苗をチラチラと盗み見た‥
「苗‥」
「‥ん?」
「今日はなんでまた…
そんな恰好してんだ//」
「‥‥‥
‥‥こ、れは‥お母ちゃんがっ…」
思わず我慢できずに訊いてしまった晴樹に苗は下をうつ向き口を開く‥
‥おばさんが?
「お、おかしい!?
やっぱ、着替えてくるょ!」
──‥!?
「ちがっ‥苗!」