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君に熱視線゚
第45章 恋の片道切符
急に締め付けられる胸の痛みに晴樹は顔をしかめる。
‥なんで思うようにいかないんだよ‥
今更ながら、もどかしさが募る
離れたくない‥
誰にも苗を――‥
抗う心を必死で抑えた晴樹の瞳に苗が映る。
可愛く笑う笑顔は次第に歪み、ボヤケてくる‥
揺れる想いを振りきるように晴樹は視界を閉ざしスクリーンに顔を向け直した。
スクリーンの中で交わされる会話も聞き取れない‥
映画の内容になんてまったく集中できず胸の痛みで喉の奥が麻痺してくる‥
せっかくのデートだから‥
ずっと望んでた苗との二人きりのデートだから…
楽しい思い出にしないと‥
‥この感情に負けたらいけない──
胸の奥から込み上げてくる想いを晴樹は必死で押し殺していた
濡れた瞳に気づかれないように、晴樹は目を細め優しく微笑む‥
「苗‥」
「ん?なにっ?」
「この映画‥面白いな!」
「うん!」
「‥‥
よかったな…」
「‥‥うん?」
笑ってるはずの晴樹の顔が今にも泣き出しそうに見える。
‥‥‥あ、れ?
兄さん?‥‥‥
苗は、返事をしながらスクリーンを向いた晴樹を見つめていた‥