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君に熱視線゚
第45章 恋の片道切符
意地悪を言いながらも笑う瞳はすごく優しい。
苗はふと晴樹のそんな表情にくぎづけになる‥
今までも何度となく晴樹はそんな瞳で苗を見つめてきた…
ただ、苗がそんな晴樹に気づかずにいただけ‥
晴樹のすごく優しくて、そしてどこか哀しそうな…
そんな晴樹の背中を苗は目にとめる
展望台のビルに向かって歩き出す晴樹‥
少し前を行く晴樹の腕に苗はふと手を伸ばした。
「───!?
苗‥どうした?」
そっと掴まれた腕に驚き晴樹は苗を振り返る。
「あ‥あ、
兄さん歩くの早いだよっ!!‥//」
「‥
そうだったか?」
ずっと同じペースだったはず‥ そう思いながら晴樹は歩く速度を少し緩める。
何気に赤い顔でうつ向く苗の様子をちらりと伺いながら展望台までの道のりをゆっくりとした動きで‥
晴樹はその少しの時間をじっくりと噛み締めた‥
掴まれた腕が少しずつ熱をもつ‥
‥このままがいいな‥
ずっとこのままだったら‥いい‥
ささやかな晴樹の願望。