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君に熱視線゚
第45章 恋の片道切符
会話もなくていい‥
今はこの時間を大事にしたい…
悲しい感情はいつの間にか和らぎ温かい想いが晴樹の心を満たす。
展望台に辿り付き晴樹は一番眺めのいい場所を見つけると苗に望遠を覗かせた。
「ゆっくり右に回してみな‥」
「右?」
晴樹に言われ苗は標準を合わせる‥
「‥うわぁ‥」
「な、いい眺めだろ」
「うん!
中華街のネオンがすごい綺麗だよ!!」
「中華街?」
‥俺が見せたかったのはそれじゃ‥
‥プッ
‥まぁいいか‥
的はズレていれど、苗は喜んでいる‥
晴樹は妥協し、そのまま望遠を覗かせてやっていた。
苗が自分といて楽しそうにしてくれている‥
それ以外、晴樹が望むものはない…
夜の輝く街を眺めはしゃぐ姿‥
苗のそんな姿を晴樹は胸に焼き付けるように見つめ続けた‥
‥こんなに手に届く距離なのに‥
こんなに…近くにいるのに──
「兄さん見てっ!」
「──!?」
直ぐ側にいた晴樹を苗は突然、引っ張り望遠を覗かせる
「み、見てって何を見りゃいいんだよ?」