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君に熱視線゚
第46章 恋の片道切符二枚組
「‥‥なんでそう想うかわかるか?」
「‥‥?‥」
問いかける晴樹に苗はプルプルと首を横に振る。
「──‥‥」
‥だろうな
別に期待はしてない…
もう、
腹もくくったし‥
晴樹は覚悟を決めて瞼を伏せる。軽く閉じた瞳を開き、早すぎる鼓動を落ち着かせ深い呼吸をすると揺れる瞳で苗を捕えた…
「なえ…」
見つめながら名を呼び頬に手を伸ばす…
きょとんとしたままの苗の肩を少し引き寄せると、晴樹はゆっくりとした動きで胸の中に抱きしめていた。
「‥‥‥」
‥兄…さん?
晴樹に抱きしめられたまま苗は無言だった。そんな苗の背中に腕を回し晴樹はそっと力を込める。
ゆっくりと息を吐いた晴樹の口から少しずつ…
溜め込んだ想いが溢れていく…
「苗…
なんで嫌なんだと思う?…」
「………」
「…なんでだと思う…ッ…」
抱きしめた苗の肩に顔を預け問いかける晴樹の声は切なくかすれる。
「なえッ………
同じなんだよッ…
苗の気持ちと…ッ…」
抱きしめながら震える晴樹の声。詰まる喉に力を入れて呟く晴樹の胸は、切なく軋み痛みを与える。