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君に熱視線゚
第47章 。*゚。゚INニューヨーク゚。*゚。
順調に進むように思えた仕事も不慣れなせいか、中々思うように進まない。
日本への帰国が遠のく度に気は沈んでいく。
社長なんかしたくない…
我が侭でもいい…
もう、ほったらかしで帰国するか?…
そんな考えが脳裏をかすめる。
社長の代わりなんていくらでもいる。
俺が社長なんかしなくても…
晴樹の口から、ためらいの白い吐息が洩れる。
日本が誇る大企業
「結城グループ」
背負ったものが大きいだけに晴樹は自分の我が侭を押し徹せない。
ただ、中途半端な気持ちが一番命とりになる。かといって退くことも出来ない…
新しく起業するために大事なことは突き進むこと。
会社を起ち上げるには勢いがなくてはならない。
でも、今の俺では…
村井は元気のない晴樹を見つめ、静かに席を外した。
「もしもし、私です。
……はい、だいぶ消沈してますよどうしましょう?」
村井は携帯でコソコソと会話を交わす。
相手側の話をメモに取り、携帯を切ると何食わぬ顔で席に戻り、晴樹に声を掛けた。
「そろそろ会社に戻りましょう。」
「ああ、そうだな…」
村井の呼びかけに晴樹は重い腰を上げた。