この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
君に熱視線゚
第50章 番外編
夜空を游ぐ大きな魚…
いつか見た、望遠のレンズ越しに追いかけたあの夜の空を優雅に游ぐその乗り物に晴樹達は乗っていた。
内輪だけの二次会に気分もほぐれ、苗は由美とはしゃいでいる。
「ところで大ちゃんは?」
「夏目くん、帰ったよ…あれだけ泣けばね……」
由美と克也は目を合わせ苦笑いを浮かべた。
夏目はどうやら自慢の体力を消耗しきったらしい…
立ち去る姿はミイラのようだったと二人は言った。
「ミイラ…はは…」
苗は渇いた笑いで返すしかなかった…
「でも先輩ってほんとにかっこいいっ…苗、超幸せもんだよ!!」
羨まし気に由美に肘でこづかれながら苗はほんのりと頬を染めていた。
やっと晴樹への恋心に気付いた苗。
去年の今頃は家事に汗水流し、三つ子の世話に追われ、満作の尻拭いに走り回り、恋をするなんて思ってもいなかった…
何の因果か、入学したばかりの高校が金持ち学園に買収され、高校生活も早、中退かと騒いだ日々が懐かしい。
晴樹に初めて出会って、まさか結婚までするとはあの時の苗には想像もつかなかった。