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君に熱視線゚
第50章 番外編
平静を装いながらも狼狽える晴樹を三匹のホームズ達はニヤニヤと見上げていた…
「なあ苗、来たなら荷ほどき手伝ってよ」
「……う…苗は引っ越し手伝いに来た訳じゃないだょ…」
段ボールに囲まれた隅でプチプチと音がする。
苗はパソコンを包んでいたビニールの保護クッションの粒をプチプチと潰しながら口を尖らせていた。
「引っ越しの手伝いじゃなかったら何しに来たんだよ」
すらりとした足で荷物の山を避けながら片付けていく。部屋の片隅で段ボールに埋もれ床に踞るクリボウの様な後ろ姿の苗を見付けると、悟は思わず吹き出していた。
「だけど…まさか新婚初夜で逃げてくるとはね…」
呆れてしまうがそんなところがさすが苗だと手放しで讃えたくなってしまう。
一体、何を思って逃げてきたのか…
「今日はまさか戻らないつもり?」
「…う……」
悟の問い掛けに苗は蹲ったまま一文字だけで唸る。
すこしばかり荷物が片付いた部屋で先に組み立てて貰ったベットに腰掛けると悟は苗の後ろから語り掛けた。