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君に熱視線゚
第50章 番外編
「はあ…」
部屋に戻って何度目のため息だろうか──
苗が倒して回ったトランクケースを元に戻していくと晴樹はソファに腰掛けて背もたれに頭を預けた。一人になったリビングでふと目をやればテーブルに置いた携帯が点滅している。
苗とこれから、と思った携帯はしっかりとマナーモードに切り替えられていた。
晴樹は電話を取った。
「もしもし」
「お、出やがった!?」
相手は貴志だった。
晴樹が電話を取ったことに驚いたような声が上がる。
「なんの用だよ…」
「あ、やっぱ腰振ってる最中だったか?ハハッ悪りいな!」
「………」
不機嫌な晴樹に対して悪びれた様子は一切感じない──
夫婦の営みを邪魔するための、たんに嫌がらせの電話だったようだ。
「今、ムンライでお前の三次会やってんだよ!ちぃーと邪魔してやっかって話しになってよ!」
「勝手に人の三次会を主役抜きでやるんじゃねえアホッ!」
「ハハッんじゃあ、隣の嫁さんにも宜しく言ってくれ!あんま頑張りすぎんなよっ」
「まて貴志──」
「あ!?」
電話を切ろうとした貴志を晴樹は呼び止めた。