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君に熱視線゚
第52章 君に熱視線゚〜愛の鈍行列車〜
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婚約披露宴に新居への引越し。短い春休みを慌ただしく終えて苗達は今日、二年に進級し、新学期を迎えた。
気持ちも新たにと苗も二宮高校のお古の制服ではなく、ちゃんと結城の可愛い制服を新調して式に参加している。
「結城先輩はやっぱり間に合いそうもないね?」
周りを見渡してもあの目立つ素材が目につかない。由美は目の保養が出来ないことに少々肩を落として前を向き直った。
──────────
「もう始まってますね──」
「ああ、しょうがない。取り合えず顔だけ出せればいいよ」
高級車のタイヤが滑らかな走りを見せる。車体のしっかりとした車のシートに深く身を預け、運転席から話し掛けてくる村井に晴樹は答えた。
もう少し早目に帰国するはずが結局、新学期当日になってしまった。
空港からマンションに帰り着き、制服に着替えだけ済ませると晴樹は直ぐに学園へと足を向けていた。
正直なところ新学期はどうでもいい。
早く見たいのは自分の奥さんである苗の笑顔だ。
「苗さんは元気にしてますかね」
「電話の声は元気だったけどな」
口にしながら外を眺め、晴樹は頬を緩めていた。
車は学園の裏門に停まり、始業式が行われている体育館を前に、晴樹は中から滑るように身を乗り出す。丁度、式が終わったところに出くわして出口から出てきた生徒の群れが車から降り立った晴樹の姿に注目していた。
婚約披露宴に新居への引越し。短い春休みを慌ただしく終えて苗達は今日、二年に進級し、新学期を迎えた。
気持ちも新たにと苗も二宮高校のお古の制服ではなく、ちゃんと結城の可愛い制服を新調して式に参加している。
「結城先輩はやっぱり間に合いそうもないね?」
周りを見渡してもあの目立つ素材が目につかない。由美は目の保養が出来ないことに少々肩を落として前を向き直った。
──────────
「もう始まってますね──」
「ああ、しょうがない。取り合えず顔だけ出せればいいよ」
高級車のタイヤが滑らかな走りを見せる。車体のしっかりとした車のシートに深く身を預け、運転席から話し掛けてくる村井に晴樹は答えた。
もう少し早目に帰国するはずが結局、新学期当日になってしまった。
空港からマンションに帰り着き、制服に着替えだけ済ませると晴樹は直ぐに学園へと足を向けていた。
正直なところ新学期はどうでもいい。
早く見たいのは自分の奥さんである苗の笑顔だ。
「苗さんは元気にしてますかね」
「電話の声は元気だったけどな」
口にしながら外を眺め、晴樹は頬を緩めていた。
車は学園の裏門に停まり、始業式が行われている体育館を前に、晴樹は中から滑るように身を乗り出す。丁度、式が終わったところに出くわして出口から出てきた生徒の群れが車から降り立った晴樹の姿に注目していた。