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君に熱視線゚
第53章 恋の修羅場ラバンバ!
“嫁にもらうって言ってたもん”
「……!っ…」
あいつっ…苗の田舎の幼馴染みじゃんっ!
夏目は去年の夏休み、三つ子に見せてもらったアルバムの写真を鮮明に思い浮かべていた。
苗の隣を添うように歩く。そんな悟に夏目は一気にライバル心が沸き上がる。
「ぜんぜんデケーっじゃん…っ…」
夏目が予想した通り、中学の頃の写真に写っていた小柄な少年は立派に長身の家系の血を引いていた。
スラリと足から伸びたであろうその姿に夏目は小さな嫉妬を浮かべる。
「大ちゃん、タイムはどんな?」
「……ああ、かなりいいよ…てか、苗は何してるんだ?」
夏目は悟を気に掛けながらも近くに来た苗に話し掛けた。
苗は答える。
「今からね、剣道部の見学に行こうと思ってさ」
「剣道?」
聞き返してちらりと見る夏目に悟は何か含んだ眼差しを返していた──
「……!…」
夏目は察知する。
そして同じく悟も──
苗に対して特別な感情がお互いあることに、二人は本能的に気づいていた。